辺境の道路、緩やかな上り坂を、肩を並べて歩く1体と1台の姿があった…

疲弊と悲哀に満ちた表情の奇獣。その名はかすてら。
そして、その手に押される自転車。その名は…とりあえず愛車とする。
アイシャは鬱屈としていた。
なんでも、今日は久しぶりのサイクリングだということで、自身の試運転も兼ねて、天候の優れぬ中駆り出されたというのに、
かすてらが、やれ坂道がきついだの、やれサドルで尻が痛いだのと弱音ばかり吐く上、
終いには降りて歩き出すのだから、たまったものではない。
私は何のためにここにいるのだ…
後ろから来たサイクリスト達が、トボトボ歩くふたりを軽快に追い越す。
彼らのように、坂道を自転車で駆け上る体力なんて無いのだ。
ああ、嗚呼、なさけない。
…
その時ふたりに、冷たい感覚が走る。
雨だ…
今日は、もう帰ろう。
落ちる雫は雨粒か涙か、かすかに見えるふたつの影。
辺境の道路、緩やかな下り坂を、肩を並べて歩く1体と1台の姿があった…


